俳優の新井浩文氏が、派遣マッサージの女性とのトラブルになり、強制性交等罪で訴えられていた件で判決が出ました。結果は、懲役5年の実刑有罪判決ということでした。
公判の中で新井氏も述べていますが、風俗店ではないといいながら際どいところをマッサージするグレーな店が実際増えていますので、そうしたお店で女性と何らかの性的な行為をしてしまった男性は気になるのではないでしょうか。
そこで、今回は、産経新聞の公判記事を元に、感想を書いてみたいと思います。
裁判の争点は「被告が暴行を加えたか」「性交の合意があると誤診することはなかったか」の2点。新井氏は、同意があったと誤診していたと無罪を主張し、女性は同意はなかった、「物を扱うように扱われ、とても悔しい思いをした。刑務所に入って反省してほしい」と強い被害感情を述べたということです。
女性の抵抗が弱いと思ったというのは、合意になるのか
ここから産経記事から抜粋引用しながらコメントします。
(以下産経の引用は「引用」とのみ記載します。)
《弁護人は、仰向けのマッサージの際の2人の位置関係を、寝室の見取り図を示しながら新井被告に確認していく。脚のマッサージの様子について話が続く。》
新井被告「左脚から上に来て、内もも、いわゆるそけい部のマッサージをしてもらいました」
弁護人「どういう気分になりましたか」
新井被告「徐々に性的な気分になりました」
弁護人「マッサージは、どの辺りまでしましたか」
新井被告「紙パンツに手が入るか入らないかのぎりぎりだったと思っています」
中略
弁護人「どれくらいまでマッサージしましたか」
新井被告「Aさん(女性のこと)は左と同じくらいまでやりました。もっと上の方とか『きわきわまで』とお願いして『いや、そういう店じゃないのでだめですよ』といっていましたが、マッサージはしてくれました。股間に当たるか当たらないかまでです。」
弁護人「それで?」
新井被告「興奮してきて、彼女の右手を私の右手でつかみ、私の股間の上に、紙パンツの上から押し付けました。」
弁護人「それで?」
新井被告「その時(手を)引かれた気がしますが、通常の状態に戻りました」
《女性の手を数回こすりつけたという新井被告。続けて女性のTシャツと下着をめくって、体をなめたという。新井被告の説明によると、1分から数十秒間で、女性が反応したり嫌がったりする様子は特になかったという》
弁護人「どう思いましたか」
新井被告「大丈夫というか、受け入れられているのかなと思いました」
《さらに女性のズボンも下着とともに脱がせたという》
(引用ここまで)
さて、上記箇所の新井氏の主張をかいつまんでいうと、利用した派遣マッサージ店のマッサージは、性的マッサージを思わせるグレーなマッサージであり、相手の女性は性的行為をしかけても強く抵抗しなかったということかと思われます。実際、風俗店ではないとうたっていながらグレーなオイルマッサージ店においてはこういう展開はよく聞くお話ですね。
ただし、女性の方は、暴力を受けたと主張していますので、この新井氏の説明がすべて真実かどうかはここでは断定できない前提の話であることを断っておきます。
さて、仮に、新井氏の主張が正しい場合、どうなのか!?ということが世の男性諸氏は一番気になるところでしょう。
一般に、風俗店すれすれのグレーな派遣マッサージでは、お客を呼び込むために、きわどいところまでマッサージするのを売りにしています。
そういう点から、新井氏はこの種の店で、性的な流れになることは一般によくあることだ、また、女性の方も強く抵抗しなかったので、その場の雰囲気で合意だと思ったと陰に陽に主張しているようです。
つまり、店も「こういう流れは織り込み済みですよね?」、女性もそういうことは承知の上でしょうというニュアンスを含んでいるように聞こえます。
世の男性諸氏も、そもそもこういうグレーなお店では、店や女性側にもやはり問題があるのではないかと考えることでしょう。
たしかに、そういう心理になるのは理解できないことではありません。
しかし、激しい暴力がなかった場合でも、女性の側はお客様にきつい言い方はできない、あるいは恐怖で激しく抵抗できないというという場合も想定できます。(新人の女性などでは実際に少なくないと思われます。)
グレーな店だから男性は少々はめをはずしてもいい、相手は強く抵抗していないからだいじょうぶだろうと思ったとしても、結局、裁判所が、女性に同意がなく、強制性交だと判断すれば、結局のところ、それは勝手な思い込みだと判定されることになります。
世の男性は、暴力を加えていないとしても、相手が強く拒否したように感じなかったから合意だろうと軽く考えていると、あとで大きなトラブルになる危険があるというのは、知っておいたほうがいいでしょう。
金銭の受け渡しのあるなし
新井被告はAさん(被害女性)に帰り際、お金を渡そうとしたら、女性は受け取りを拒否したとのことです。それから新井被告は10回以上店に電話し、女性側は被害弁償の申し出があったと証言したそうです。
提示金額は有名人だということもあるでしょうが、なんと1000万円(最終的に2000万円を提示!)・・・
しかし、これも女性は拒否したということですから被害感情が非常に強いことが伺えます。
この経緯を考えますと、新井被告は、女性が帰り際にお金を受け取らなかった行動や態度で、やばいことになりそうだと感じたのでしょう。なし崩し的に合意だろうと甘く考えていたのが間違いだったかもしれないと、危機感を強めたのでしょう。
新井被告の弁によれば、有名人なので口止め料といった意味、また、同意でなかったらどうしようという不安からお金を渡そうとしたということですが、この時点で、かなり新井氏が不利に感じます。
ちなみに風俗店でもグレーなオイルマッサージ店でも、店を介さない金銭の直接のやりとりはしばしばあるようですが、トラブルになったとき、金銭の受け渡しがあれば、客側に有利な事情にはなり得ます。女性と交渉して金銭を渡して合意でやった、あるいは示談金として渡したという解釈が成り立つ余地があるからです。
金額が少なかったとしても、お金を渡してないより渡している方が、お客には有利になりえます。金銭の受け渡しがあれば、警察はトラブルは民事でやってくれという態度になりやすいからです。(だからといって、犯罪を故意にやってお金を渡せば絶対にだいじょうぶということには当然なりません!)
さて、派遣マッサージで女の子と盗撮や本番行為をした等でトラブルになって、警察から連絡がありますか?という相談がよくあります。以前は、よほどの明確な暴力や脅迫でなければ、風俗店トラブルはほとんど警察は取り合わない印象がありましたが、やはりこういうニュースが出ると多少変化があるように思います。法改正のあらわれという面もあるでしょう。
実際、新井被告が逮捕されたというニュースが出てから、割と警察から事情を聞きたいという連絡が来たという相談が増えています。さすがに逮捕されるケースはそうそうありませんが、トラブルになったら軽く考えず、示談などしっかり対応した方がベターという流れになっているのは確かです。
補足:トラブルのその日のうちに店から要求された、お金を払ってしまったら
当サイトのお客様の相談で、トラブルになってその日のうちに男の店員に50万円請求されて渡してしまったというものがよくありますが、もしそういうことになってしまったら録音するなり、手書きでもいいので領収書をもらうなりしたほうがいいでしょう。
後日に示談書を依頼されて補強することもありますが、領収書もなにもないと悪質店だった場合に何が出てくるかわからない怖さがあります。
いずれにしても、放置したり一人で判断したりするのは危険です。
示談書作成手続きについては無料相談も利用できますので、お気軽にお問い合わせください。
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